パラフェンシング大会を初体験──初めて見て触れた迫力の試合

パラフェンシング

先週末の7月27日、東京都北区赤羽体育館にて実施された、「第3回全日本パラフェンシング選手権大会」というパラフェンシングの大会に参加してきました。今回は縁あってボランティアでお手伝いです。ですので競技運営や選手サポートといった役割ではなく、スタッフの方々の指示に従いながら場内での試合のセッティングや備品の配置、選手の方々のサポートなど、裏方として動くような立ち位置でした。

実は、パラフェンシングの試合を観るのも今回が初めて。競技について予備知識はほとんどなかったのですが、だからこそ新鮮な驚きと学びが多くありました。


パラフェンシングとは?──車いすを固定して行う「静と動」の攻防

ご存じの方もいるかもしれませんが、パラフェンシングは、自分的には今まで「車いすフェンシング」と勝手に呼んでいた競技になります。試合中、選手は専用のフレームに車いすを固定し戦います。距離は選手の体格に合わせて試合ごとに設定するのですが、基本固定された状態での対峙になるため、一見すると「動きが制限される」ようにも思えます。ですが、実際の試合を目の当たりにすると、その印象は一変します。

選手たちは、瞬発力と集中力、そして正確なタイミングでの“突き”を武器に、息をのむような攻防を繰り広げていました。激しい左右の動きに加えて、フェイントや間合いの駆け引きが鋭く、いわば「静の中の動」といった表現がぴったりだと思いました。
最初一瞬車いすを固定するという時点で、これは動けないのではないかと考えてしまいましたが、選手は上半身を左右に大きく傾けたり、体幹の可動を使ってリーチを伸ばしたりします。「動かずに戦う」ということはなく、「車いすを動かさずに、体幹の動きで戦う」という感じでした。

パラフェンシングには「フルーレ」「エペ」「サーブル」という3つの種目があり、それぞれルールや有効面(得点になる攻撃が当たる部位)が異なります。今回の大会では、特にフルーレとエペについては「カテゴリーA」「カテゴリーB」に分かれて試合が行われていました。


初めての観戦で感じたこと──事前知識があるともっと楽しめる

正直なところ、ルールを十分に把握しないまま現場に入ってしまったため、最初は試合展開についていけず戸惑う場面もありました。得点が入ったかどうかの判定は音とランプでわかるのですが、「なぜ今ポイントが入ったのか?」「どうやらどちらかに優先的な攻撃権がある?」など、理解が追いつかない瞬間が多かったのです。

とはいえ、そんな自分でも自然と引き込まれるような熱戦が続き、気がつけば手に汗を握りながら見入っていました。白熱した試合がいくつも続いた影響か、タイムスケジュールもやや押し気味。大会全体としてもボリュームのある、密度の高い内容だったように思います。

この体験を通じて強く感じたのは、「ほんの少しの予習でも、きっと世界の見え方が変わったはずだ」ということ。競技のルールや見どころをあらかじめ知っていれば、より深く楽しめただろうなと、少し悔しいような、惜しいような気持ちになりました。特にお手伝いをするという立場でいうと選手ファーストになるために必要な知識だったと反省しています。

次に機会があるとしたら、今度はしっかり準備をして臨みたい。そう思わせてくれるほど、魅力的で奥深い競技でした。


会場の雰囲気──アットホームな中に宿る真剣勝負の緊張感

大会の会場には、日ごろから一緒に練習しているのだろうと思われる選手たちが多く、リラックスした笑顔や冗談のやり取りがあちこちで見られました。運営スタッフの方々も顔なじみのようで、全体としてはとてもアットホームな雰囲気です。

とはいえ今回は全日本選手権。いざ試合が始まると、その空気は一変し選手の表情はきりっと引き締まり、仲間とのやり取りも最小限に。一本一本の攻撃に込める集中力や気迫がひしひしと伝わってきて、自然と背筋が伸びる思いがしました。あとこだわりや競技に挑む姿勢などはさすが全日本、「プロフェッショナル」だなと感じました。

応援の声も控えめながら熱がこもっており、それぞれの選手が背負うものの重さと向き合いながら戦っている姿に、心を打たれる瞬間が何度もありました。


“参加する”ことの意義──観客でもない、選手でもない立場から

今回、自分は選手でも審判でも観客でもなく、本当にお手伝いという中間的な立場で会場にいました。そんな中途半端な関わり方で何ができるのか、最初は少し戸惑いもありましたが、終わってみれば現場に行けて良かったと思ってます。

直接応援することも、戦うこともできなくても、大会の空気に身を置くことで感じられる緊張感や感動は、やはり現場ならではのもの。小さな役割でも、そこに参加することにはちゃんと意味があるのだと、今回の経験が教えてくれました。学生のスタッフも多く、その場にいた皆さんが自ら手を動かして大会が成り立っていたと思います。


最後に──もっと広く知られていくと良いなと思う魅力

パラフェンシングの魅力に触れた一日。初めてのことで戸惑う場面もありましたが、全体としてはとても実りある体験でした。

何より、こうした機会を通じて「知る」「関わる」ことが、次につながるきっかけになるのだと実感しました。スポーツに限らず、あらゆる場面で“知らないことに一歩踏み出す勇気”は大切だと改めて思います。パラフェンシングは見ているだけでも迫力があり面白いスポーツだと知れましたし、もっと多くの方にも見てもらえるといいなと思いました。

次回また参加できる機会があれば、今度は少し勉強をして、より深く関われるように準備して臨みたいと思います。