車いすバスケをもっと身近に──車いすバスケットボールChofuエキシビションマッチ2025に参加して

昨日6月15日、朝はしとしと霧雨模様でしたが、午後から晴天で真夏のような暑さになったこの日、東京都調布市にある京王アリーナTOKYO(武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ)で開催された「車いすバスケットボール Chofuエキシビションマッチ 2025」というイベントに参加してきました。
私たちの活動拠点である船橋からは距離があるのですが、日程的にもタイミングが良く、ほかに予定もなかったために、ふと思い立ってほんの少しお手伝いという形で関わらせていただきました。いつものことながら、こういう場にいると、いろいろと新たに得るものがたくさんあると実感します。
調布で感じた、にぎわいと体験の楽しさ
今回は、手伝いもあったのでじっくりと試合を観戦する時間は取れなかったのですが、会場は朝から活気にあふれていて、特に体験コーナーは多くの親子連れの方などで賑わっていました。
目を引いたのは、車いすバスケットボールの体験ブース。男子の2025強化指定選手(日本代表の有力候補)にも選ばれている古川選手と丸山選手が講師として参加されており、実際に競技用車いすに乗ってボールを扱う体験ができる貴重な場となっていました。小学生くらいの子どもから、保護者の方、年配の方まで幅広い年代が笑顔で挑戦していて、それを優しくフォローする選手の姿がとても印象的でした。たぶん1回の参加は10名くらいなのですが、「鬼ごっこ」と称して丸山選手が鬼、参加者を捕まえる(タッチする)というゲームをやっていました。まぁ丸山選手の追いかけるスピードが速い事、ハヤイコト…。すごい迫力です。といいつつ、参加者でもかなりうまい方もいて、逃げ切ったり、捕まったりした場合はさらに大盛り上がりで楽しそうでした。
見ていると、みなさん車いすで止まったりダッシュしたりコートを駆け回る感覚が新鮮なのか、最初はおっかなびっくりでも、何周かするとだんだん笑顔が増えてくるんですね。ちょっとした「できた!」が、どんな世代にも嬉しい。そういう感覚、スポーツの持つ力ってやっぱりすごいなと感じました。
市民とアスリートの距離が近い、地に足のついたイベント

エキシビションマッチはCOOLSなど天皇杯で活躍されているチームの試合もありました。今回のイベントは調布市がメインで開催されてて、主催に、京王アリーナTOKYO、日本車いすバスケットボール連盟などが連名で参加されています。車いすバスケット体験会のほかにも、ボッチャ体験会では協会の方、ボランティアの方々が丁寧にルールを説明しながら指導しており、こちらも人気のエリアとなっていました。
さらに、羽田ヴィッキーズ(女子バスケットボールチーム)の選手たちが、小中学生向けのバスケットボールクリニックを開催。エンタメ的な派手さというよりは、しっかりと“触れて・知って・試せる”機会が詰め込まれており、まさに「地に足のついたスポーツイベント」といった雰囲気でした。
東京都からは、2025東京デフリンピックの告知も行われており、会場内にはパネル展示も。調布市ではまさにこの京王アリーナTOKYOの会場でバドミントン競技が開催される予定だそうで、こうして地域で盛り上げていく取り組みの一環としても、今回のイベントは大きな意味を持っていると感じました。
車いすのミニチュアもいい体験の思い出に
個人的面白かったのは会場の一角に設けられていた「車いすバスケットボールのガチャ」のコーナー。なんと、競技用車いすのミニチュアが4種類。細部までリアルに再現されていて、これがまた思わず集めたくなる可愛さ。実物の存在感と、その“分身”としてのミニチュアが、うまくリンクしていて、「こういう形でもっと多くの人に車いすバスケットの良さを知ってもらえるといいな」と思いました。
こういうグッズって、単なるお土産じゃなくて、「記憶のスイッチ」みたいな役割をしてくれるんですよね。帰ってからふと見たときに、「あの日の体験、楽しかったな」って思い出せる。そういう意味では、小さなガチャ一つにも、イベントの想いが詰まっているのかもしれません。
船橋でも、こんなイベントを
われらが船橋でも「こういうイベントがたくさんあればいいのに」と思いがちですが、実は船橋でも、障がい者スポーツ体験や、通常のスポーツクリニック教室の機会は多くあります。。特にふなばしアリーナや運動公園などでふなスポフェスタと銘打って、小学生向けの市船サッカー部の教室や障害の有無や性別、年齢にとらわれない各種スポーツの体験会などたくさん開催されています。
競技の体験・観戦・学び、そして選手たちとの交流が自然な形で組み込まれている今回のようなイベントは、参加者の垣根を取っ払ってくれるというか、「スポーツって、誰にでもひらかれているんだ」と思わせてくれる力があります。こうしたイベントが、船橋でももっと“身近であたりまえ”に行われるようになると、きっと地域の風景も少しずつ変わっていくはずです。私自身も含め、そうした流れを後押しできるような取り組みを続けていきたいと思います。
「Chofuエキシビションマッチ2025」は、あくまで一日限りのイベントでした。でも、そこで起こったたくさんの笑顔や、初めての挑戦、そして思わぬ出会いは、来場者一人ひとりの中にちゃんと残っていくはずです。
スポーツって、競技の勝ち負けだけじゃない。誰かの一歩を後押しする場であり、出会いや感動が交差するハブのようなものになれる。そう改めて感じた一日でした。