全国障害者スポーツ大会 車いすバスケットボール 関東ブロック予選会観戦記ーライブで見れば絶対にイメージが変わる。

車いすバスケット大会

5月31日と6月1日の2日間、千葉公園内のYohaSアリーナで開催された「全国障害者スポーツ大会 車いすバスケットボール 関東ブロック予選会」にお手伝いとして参加してきました。この大会は、かつての「国体」に代わる「国民スポーツ大会」の予選という位置づけとなり、関東各県や市町村から9チームが集まり、熱のこもった試合が繰り広げられました。結果は東京都チームの優勝で幕を閉じましたが、参加された皆さんにとっても個人的にも内容の濃い2日間となりました。

試合のレベルは非常に高く、選手たちの動きや連携に驚かされる場面が何度もありました。東京2020パラリンピックにも出場した鳥海選手、赤石選手をはじめ、多くの日本を代表する選手が出場しており、まさに関東(全国?)トップクラスの選手の皆さんが集まった素晴らしい大会だったと思います。

車いすバスケットボールという競技の特徴

改めてですが、車いすバスケットボールは、障がいのある方が競技用車いすに乗ってプレーするスポーツです。ルールは一般的なバスケットボールとほぼ同じですが、大きな特徴の一つに「持ち点制度」があります。これは、選手に障がいの程度に応じた点数(1.0〜4.5点)が割り当てられ、コート上に出場する5人の合計が14点以内になるようチームを構成しなければならないというルールです。

この制度によって、チームを同じ障がいレベルの選手だけで構成することはできず、各選手の役割や特徴を踏まえた上で、戦略的にメンバーを選ぶ必要があります。そのため、試合中は障がいの程度の異なる選手が同じコートで力を合わせてプレーする姿を見ることができ、多様性とチームワークの深さを感じさせられます。
と偉そうに言いつつ、そんなに詳しいわけではないの改めてルールのわかりやすい動画を紹介します。(音が出ますの注意してご覧ください)

印象に残ったふたりの選手

今回の予選会では、多くの選手が目を引くプレーを見せてくれましたが、その中でも特に印象に残ったのが、群馬県チームの12番・安田選手と、千葉県チームの13番・立川選手です。

車いすバスケットは、役割分担が明確なこともあり、シュートを打つ選手がある程度限定される傾向があると思います(間違っていたらごめんなさい)。それは先に書いたルールの中でコートに立つ5人の中で役割分担ができていることに起因するのかもしれませんが、見ていると逆にシュートをためらう選手も多くいるように思います。安田選手も立川選手も、そうした中でもしっかりと自分のタイミングを見つけ、打てるときは積極的にそして迷いなくゴールを狙っていました。

もちろん、すべてのシュートが成功するわけではありません。それでも、打つべき場面でしっかりとチャレンジする姿勢には、自然と目が引き寄せられます。そして失敗しても、すぐに切り替えてディフェンスに戻る姿からは、競技者としての意志の強さが伝わってきました。

会場の熱気と臨場感

YohaSアリーナは、天井が高く開放感のある会場で、観戦にも適した空間です。試合中は選手の声、車いすがきしむ音、ボールがリングを叩く音が響き、まるでプレーの真っただ中に自分がいるような臨場感がありました。観客席には関係者や応援に訪れた方々が座り、拍手や歓声を送る様子も、あたたかく穏やかな雰囲気を作っていました。

このような高レベルの試合を無料で観戦できる機会は、他のスポーツを見渡してもそう多くはないと思います。以前も少し書いた通り、車いすバスケットの迫力は見る人を惹きつける魅力があると思います。これまでいくつかのスポーツの試合を観戦しましたが、今回はその中でも特に見ごたえがあり「こんな試合が無料で観られるなんて」と、思わず得をしたような気持ちにもなりました。
その一方で、思っていたよりも観客の数はまばらな印象です。もう少し皆さんに見てもらえると選手もモチベーションがあるだろうなと、少しだけもどかしい気持ちにもなりました。

スポーツの価値をあらためて感じて

そこら辺もふくめて、2日間を通して強く感じたのは、車いすバスケットボールの魅力が、もっと多くの人に届いてほしいという思いです。迫力のあるプレーや緻密な戦術、そして選手一人ひとりのプレーに込められた思い。それらは、実際に会場でライブで見てこそ、しっかりと伝わってきます。

また、試合を終えた選手やスタッフの表情からは、真剣勝負を終えたあとの充実感がにじんでいましたし、この場所が選手同士のつながりや、支える人たちの思いを形にする場でもあることを感じさせられました。

さいごに

車いすバスケットボールは、まだ(チケットが取れないような)人気の高い競技ではないかもしれません。ですが、実際に足を運んでみると、その印象は大きく変わります。そもそもですが、障がいがあるとかないとかは関係なく、競技としての完成度の高さ、会場の一体感、そして選手たちのひたむきさ。どれもが、私たちに新たな視点や気づきをもたらしてくれます。単純に「見て感じて面白い!」ので「ぜひ見に行ってみましょう!」という感じですね。

こちらを見て車いすバスケットにご興味を持たれた方は、ネットで検索するなどご自身でも調べていただくと意外と皆さんの身近で試合があったりします。機会があればぜひ会場へ足を運んでみてください。必ず何か新しい発見があると思いますよ。
日本車いすバスケットボール連盟 https://jwbf.gr.jp/
全国の車いすバスケットチーム一覧 https://jwbf.gr.jp/teams 
もう少し詳しいルールの説明 https://jwbf.gr.jp/wheelchairbasketball