千葉県障がい者水泳大会に参加して|好きなものに挑戦するよろこび

千葉県障がい者水泳大会

真剣なまなざしに引き込まれて

5月18日、千葉県障がい者水泳大会にお手伝いとして参加しました。
到着したプールサイドは、思った以上に張り詰めた空気に包まれていました。開会前の静けさの中で、それぞれの選手が自分のレーンを見つめたり、ウォーミングアップに集中している姿が印象的でした。この日、会場には知的障がいのある方、身体障がいのある方など、さまざまな背景を持つ選手たちが参加していました。競技が始まると、どのレースにも一切の手加減がなく、それぞれが全力で泳ぎきる姿が見られました。


喜びと悔しさ、その両方がまっすぐに

ある選手は、レース後に嬉しそうな表情でこう話してくれました。
「飛び込み、うまくできました!」その笑顔が、ただの成功以上の意味を持っているように感じました。別の選手は、記録を伸ばせなかったことに少し肩を落としながらも、「また頑張ります」と前を向いていました。「ゴーグルがずれちゃって…でも楽しかったです」と語った言葉には、悔しさとともにどこか清々しさがありました。タイムや順位だけでは測れない、自分自身そしてご家族や介助されている方々と一緒になって小さな勝負に挑む姿。それは純粋で、そして力強いものでした。


家族のまなざし、つながる気持ち

選手だけでなく、家族や支援者の方々との関わりもまた、この大会をかけがえのないものにしていました。
「毎日少しずつ練習してきたんです」と語るお母さんの目には、レースを見守る緊張と、わが子を誇る気持ちがにじんでいました。レース後、選手にタオルをかけながら「よく頑張ったね」と優しく声をかけるその姿からは、日々の努力と家族の支えの深さが伝わってきました。スポーツを通じて、家族と選手が、ひとつの時間を共有できる。その価値を感じました。私たちのような支援者も何かの役に立てているといいなと感じます。


勝敗よりも、「好き」がもたらす強さ

この日、最も印象に残ったのは、選手たちの「泳ぐことが好き」という気持ちでした。もちろん勝負は大事なのですが、誰かと競い合うためだけではなく、自分が楽しいと思えるから、もっと速くなりたいと思うから、今日この場所に来た。そんな想いが、プールの中に確かにあったと思います。

「今日はターンがうまくできた」「飛び込みを思いっきり飛んでみました!」と、嬉しそうに話す選手の声が耳に残っています。
どの言葉も、スポーツがもつ本来の力——自分を少し前に進める力——を表しているようでした。


ほんの少しの気配りが支えるもの

印象的だったのは、ある視覚障がいのある選手がプールサイドを歩いているとき、若いボランティアの方が「こちらです」と静かに声をかけ、肩にそっと手を添えて誘導していました。選手はその声にうなずいて、学生の誘導で肩にそっと手を添えてそまっすぐにスタート台へと向かっていきました。

ボランティアの方はたぶんあまり考えずに目の前のやるべきことをやったと思いますが、過度に手を出すのではなく、必要なサポートを必要な分だけ提供する。その姿勢は、競技の場にふさわしい、敬意のある支援だったように感じます。
選手が「一人のアスリート」として尊重される空気が、現場には確かにありました。


それぞれの今日、それぞれの達成

レース後、プールを出た選手の多くが、笑顔を浮かべていました。中には悔し涙を見せる方もいましたが、その涙もまた、本気で取り組んだからこそのものです。

私たちは、サポートという立場でほんの少し関わったにすぎませんが、こうした姿を目の前で見せてもらえたことは大きな学びでした。「競技」だけではなく「人生の喜びの一部」としてのスポーツのあり方が、そこにはありました。


最後に

今回の大会で出会った選手の皆さん一人ひとりが、かけがえのない時間を過ごしていたことと思います。障がいの有無に関係なく、「好きなことにまっすぐ向き合うこと」は、誰にとっても尊い行為です。この日、プールサイドにあったのは、記録だけでは測れない豊かさでした。喜びも悔しさも、すべての感情が真っ直ぐに流れていくような、そんな一日をサポートできた満足感で私自身も選手の皆さんに「ありがとうございます」という気持ちを持つとともに、私自身の週末の1日がとても満たされたように感じることができました。