2025年を終える前に ―― 私たちの街で、身近な場所からスポーツを育む

2025年の振り返り

2025年も残すところあとわずかとなりました。朝晩の冷え込みが厳しくなり、船橋の街路樹もすっかり冬の装いを見せています。皆様にとって、この一年はどのような時間だったでしょうか。

「ふなばしスポーツ」では、今年も船橋市内や近隣エリアで開催される様々なスポーツの現場へ足を運び、その様子をお伝えしてきました。大きな国際大会から、地域の体育館でひっそりと、しかし熱く行われる交流会まで。活動を振り返りながら、私たちが大切にしたい「これからのスポーツとの向き合い方」を整理してみたいと思います。

「遠い国の出来事」ではなく、私たちの隣にあったデフリンピック

今年、パラスポーツ界で最も注目を集めたのは、東京で開催されたデフリンピックでした。日本で初めての開催ということもあり、最初は「どんな大会になるのだろう」と手探りの部分もあったかと思います。しかし蓋を開けてみれば、予想をはるかに上回る盛り上がりを見せました。

私たちが現地で目にしたのは、満員で入場制限がかかる会場の熱気や、テレビのニュースで当たり前のように競技結果が報じられる光景でした。これまで「デフリンピック」という言葉に馴染みがなかった方々にとっても、日常の風景の中に少しずつその存在が入り込んできた、そんな手応えを感じた一年でした。

ただ、私たちが本当に素晴らしいと感じたのは、派手な演出や記録だけではありません。聞こえないアスリートたちが、目で情報を捉え、手話や表情でコミュニケーションを取りながら、真摯に競技に打ち込む姿そのものです。それは「障がいがあるから」特別なわけではなく、一人のスポーツマンとして純粋に高みを目指す姿でした。こうした「当たり前のスポーツの風景」が、私たちのすぐ近くにある東京という場所で見られたこと。それは、地域で活動する私たちにとっても大きな励みとなりました。

船橋の体育館から見える「等身大」の景色

大きな大会が注目される一方で、私たちの活動の根幹は、やはりここ船橋や千葉という地域にあります。今年も船橋アリーナ、バルドラール浦安アリーナ、そして地域の公園や公民館など、数多くの現場にお邪魔しました。

レポートでもご紹介してきた通り、千葉県障害者スポーツ大会や船橋市内の卓球バレー大会など、身近なコミュニティでの開催もしっかりと継続されています。私たちがこうした現場を大切にする理由は、そこに「顔の見える関係」があるからです。

大きなスタジアムでなくても、そこには確かな歓喜があり、悔しさがあり、そして何よりも「スポーツを楽しむ笑顔」があります。残念ながら私たちにはプロの興行や国際大会を支える力はありませんが、船橋の街で「あそこの体育館に行けば、自分もスポーツができるかもしれない」と思ってもらえるような、情報の架け橋でありたいと考えています。

微力ではありますが、障がいのある方もない方も一緒になって楽しめる場を紹介し、既にあるスポーツの選択肢を提示すること。大きな変化を一度に起こすことは難しくても、こうした小さな「紹介」の積み重ねが、誰かにとっての「新しい趣味」や「外出のきっかけ」に繋がることを信じています。

「誰もが嫌な気持ちにならない」という、一番大切にしたいルール

情報発信を続ける中で、私たちが特に意識していることがあります。それは、誰がこの記事を読んでも、あるいは誰がその場に参加しても、嫌な気持ちにならないような配慮をすることです。

スポーツは、時として「勝ち負け」や「記録」、あるいは「苦難を乗り越える感動」といった側面ばかりが強調されがちです。しかし、本来スポーツとの関わり方はもっと自由であっていいはずです。 「健康のために少し体を動かしたい」「仲間とのお喋りが楽しみ」「ただ会場の雰囲気を味わいたい」――。どんな動機であっても、それは等しく尊重されるべきものです。したくないことを無理にやってもらうは望みませんが、今まではしたいと考えたこともなかったけどやってみたい、チャレンジしたいと思ったらその時にはできる限りのサポートをしたいと考えています。

過度に情緒的な言葉で「感動」を押し付けたり、特定の誰かを置き去りにするような表現を使わないこと。障がいの有無に関わらず、参加する一人ひとりが主役であり、同時にその場の空気を作る一員であること。こうした「フラットな視点」を持ち続けることが、地域に根ざしたスポーツコミュニティを作る上での最低限の礼儀だと考えています。

「自分には関係ない場所だ」と思わせてしまうのではなく、「ここなら、自分もいてもいいかな」と感じてもらえる。そんな、穏やかで開かれた場所を、言葉と活動を通じて丁寧に作っていきたい。それが、ふなばしスポーツが大切にしている「サイズ感」です。

2026年、目の前の一歩から

来年、2026年にはアジア大会が愛知で開催され、さらに冬季のミラノ・コルティナ・パラリンピックも控えています。大きな大会が続くことで、再びスポーツへの関心が高まる時期がやってくるでしょう。

私たちは、そうした世の中の盛り上がりを喜びつつも、自分たちの足元をしっかりと見つめていたいと思います。世界大会の結果に一喜一憂するだけでなく、その熱をどうやって船橋の日常に持ち帰るか。どうすれば、一人でも多くの方が、近所の体育館で心地よい汗を流せるようになるか。

私たちの目標は、スポーツを通じて社会を変えるといった大きなことではありません。 「明日、ちょっと体を動かしてみようかな」と思えるきっかけを作ること。 「障がいがあっても、船橋にはこんなに楽しめるスポーツがあるんだ」と知ってもらうこと。 そんな、手が届く範囲の、手触り感のある幸せを一つずつ増やしていく努力を続けていきます。

普及が進み、スポーツが特別なものではなく、誰もが何らかの形で楽しめる「日常の選択肢」になること。そのために、来年もコツコツとレポートを書き、現場へ足を運び、地域の皆様との繋がりを深めてまいります。

おわりに

今年も一年、ふなばしスポーツの活動を見守っていただき、本当にありがとうございました。 現場でお会いした選手の皆様、ボランティアの皆様、そして運営に携わるすべての皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。

皆様の存在があるからこそ、私たちはスポーツの素晴らしさを確信し、言葉を紡ぐことができます。派手なことはできませんが、これからも「誠実であること」「地域の一員であること」を忘れずに、歩みを進めてまいります。

寒さ厳しき折、どうぞ皆様ご自愛ください。 そして来年も、船橋のどこかの会場で、皆様の笑顔にお会いできることを楽しみにしています。

2026年も、ふなばしスポーツをよろしくお願いいたします。

ふなばしスポーツスタッフ一同