稲毛海浜公園で見たパラトライアスロンの挑戦 ― 千葉シティトライアスロン2025より

千葉シティトライアスロン

10月12日、稲毛海浜公園で「2025 Asia Triathlon Para Championships and Para Cup Chiba City」が開催されました。
この大会は「2025千葉シティトライアスロン大会」の一部として行われ、トライアスロン・エイジグループ・ナショナルチャンピオンシップシリーズや千葉県トライアスロン大会など、全5カテゴリーが2日間にわたり行われました。

私が足を運んだのは初日のパラトライアスロンのアジア選手権です。しっかりとした国際大会で日本のトップ選手も参加していました。朝の空気がまだ少しひんやりしていて、海からの風が頬に心地よくあたります。車を千葉市場の駐車場にとめ、公園まで歩いていくと、準備を整えた選手やスタッフの姿が見えてきました。会場全体に静かな緊張感が漂っていて、これから始まるレースを前に空気が少し引き締まっているのを感じました。

迫力のレース、けれど観客は少なめ

実際にスタートが切られると、想像していたよりもずっと迫力がありました。
スイムでは波を切る音とコーチやチームの応援の声が重なり、バイクに切り替わるトランジションでもスタッフの声が飛び交います。選手たちは義足やハンドサイクル、伴走者と連携しての出走など、それぞれのスタイルでレースに挑んでいました。

ただ、少し残念だったのは私が思っていたよりも観客の数が少なかったことです。これだけの規模で、しかもアジア大会とはいえ国際大会でもあるのに、沿道の人の波はまばらでした。
それでも、ジョギング中の方や散歩に来ていた親子が「これは、何かやってるの?」と足を止めて聞いてきたり、選手が通過するたびに自然と拍手を送る姿がありました。少ないながらも誰かが声をかけるわけでもなく、気づいたら周りの人も一緒に応援している――そんな温かい瞬間が何度かあったことはよかったかなと思います。

公園の日常と大会が交わる朝

稲毛海浜公園は、普段からランナーや犬の散歩を楽しむ人たちでにぎわう場所です。
その「いつもの風景」の中に、レースが入り込んでいる光景がとても印象的でした。芝生の上にはピクニックシートを広げる家族もいますし、また朝の散歩だと思いますが年配の方々が少し足をとめて声援を送られている姿が印象的でした。明日参加するジュニアの選手が引率の方と一緒に来ていておそろいのユニフォーム姿で「がんばれー!」と声を張り上げています。

決して大きな歓声ではありません。でも、そうした何気ない声が集まって、選手たちの背中を押していました。スポーツの魅力って、こういう“誰かの応援”が自然に生まれることなんだなと感じました。特別な舞台ではなく、普段の公園で行われているからこそ、距離の近さもあったのかもしれません。

ボランティアの姿に支えられて

もうひとつ印象に残ったのは、ボランティアやスタッフの方々の働きぶりでした。
誘導、給水、コースの安全確認――それぞれが黙々と持ち場を守り、選手に声をかける。その一つひとつの動作が丁寧で、見ているこちらまで背筋が伸びました。
目立たないけれど、大会を支えるこうした人たちがいるからこそ、選手は安心して走れるのだと改めて思います。

翌日はジュニアや一般の部も開催

翌日の13日には、一般やジュニアを対象とした大会も行われました。
私は現地には行けませんでしたが、SNSなどで写真を見ると、家族や友人が応援する姿が多く見られました。お子さんの声援に手を振り返す選手や、完走後に仲間とハイタッチを交わす様子など、まるで地域のお祭りのような温かい空気が伝わってきます。

パラアスリートの真剣な挑戦と、地域の人たちが気軽に参加できる大会が同じ週末に開かれる――この組み合わせは、スポーツをより身近に感じさせてくれます。競技のすごさを知り、自分も何か始めてみようかなと思える。その“入口”が広がるようなイベントでした。

身近な場所で出会う「挑戦」の景色

近所でこうした大会が開かれていること自体が、実はとても貴重なことだと思います。
スポーツは特別な場所だけのものではなく、日常の中にもある。稲毛海浜公園で過ごすいつもの週末が、ほんの少し違う時間になる。その変化が心地よく、どこか励まされるような気持ちになりました。

来年もまたこの場所で大会が行われたら、今度はもっと多くの人が沿道に立ち、選手に声援を送る姿が見られるかもしれません。そうやって少しずつ、地域の風景にスポーツが根づいていくことを願っています。