Park-PFIで進化する公園活用 ― 千葉公園芝庭の事例と船橋での展望

公園の新しいかたち ― Park-PFIと地域スポーツの可能性
皆さんは「Park-PFI」という言葉をご存じでしょうか。
これは2017年の都市公園法改正によって導入された制度で、正式には「公募設置管理制度」と呼ばれています。国土交通省が定めたこの仕組みは、公共施設の整備や運営に民間の力を取り入れる新しい公園活用のモデルです。
「PFI」とは“Private Finance Initiative(民間資金活用)”の略で、その名の通り、公共事業に民間の資金やノウハウを取り込むことを目的としています。
従来、公園は自治体が整備・管理を担い、市民に提供されるものでした。しかし人口減少や財政負担の増加により、従来の形で維持することが難しくなりつつあります。そこで生まれたのがPark-PFIです。なんだか仰々しいと感じるかもしれませんが、要は今まで公園の中の売店なども公園が管理するという基本ルールだったのを、より民間企業の参入がしやすくなる環境を整えましたという感じです。公園にスタバあったらうれしくないですか?海外っぽいし行ってみたいですよね。
Park-PFIの仕組みとメリット
Park-PFIでは、公園の敷地内にカフェや店舗といった収益施設を整備し、そこで得られた収益を公園全体の維持や整備に活用します。
この仕組みによって、関係する人たちに次のようなメリットが期待されます。
- 自治体にとって
管理費の軽減や地域活性化につながり、持続的に公園を維持できます。何より魅力的な公園づくりの幅が大きく広がります。 - 民間企業にとって
土地を購入せずに、公園という立地の良い場所で事業展開ができます。コストでもメリットがありますし、公共性が高く地域貢献の意味合いもありますね。 - 利用者にとって
カフェや新しい施設が加わり、公園の使い方が広がります。「行ってみたい公園」が増えて、楽しめる。これが一番ですよね。
行政・企業・市民それぞれが利益を得ながら、より魅力的な公園が生まれるのがPark-PFIの特徴です。
千葉公園での先行事例
千葉県でも、この制度を活用した事例が登場しています。その代表例が「千葉公園 芝庭」です(公式サイト)。
千葉公園は市街地に近い立地を活かし、長く市民の憩いの場として親しまれてきました。その一角に整備された「芝庭」には、ベーカリーやカフェがオープンし、公園を訪れる人のちょっとした休憩や交流の場として利用されています。
散歩の途中に立ち寄ってパンを買ったり、ベンチ代わりに屋外の席でコーヒーを飲んだりと、日常の延長線上で利用できる場所になっているのが特徴です。公園が「立ち寄る場所」から「滞在できる場所」へと変わりつつあることを実感できます。
隣接する「YohaSアリーナ」では、スポーツ大会や文化イベントが定期的に開催されています。ふなばしスポーツでも以前ご紹介しましたが、ここでは車いすバスケットボールの関東大会なども行われており、障がいの有無を問わず多くの人が集まります。芝庭とアリーナの組み合わせによって、公園が「人が活動し、地域が動き出す拠点」となっているのです。
公園はコミュニティのハブへ
Park-PFIの取り組みは、公園の利便性を高めるだけではありません。そこに人が集まり、イベントやスポーツを通して交流が生まれることで、公園は地域コミュニティの中心へと変わります。
ふなばしスポーツでも、これまでの活動を通じて「場所が持つ力」を実感しています。スポーツイベントは、参加する人だけでなく、その場に居合わせた人をも巻き込み、自然な交流を生み出します。公園はその舞台として非常に相性が良い場所といえるでしょう。
船橋でも広がる可能性
今後、船橋でもPark-PFIを活用した公園づくりが進むかもしれません。もし実現すれば、私たちの活動とも結びつけることができるでしょう。現状を見ると船橋市の公園は公益財団法人船橋市公園協会というところで管理をされています。なのでこれは良いか悪いかではなく、もしかしたらすぐに民間企業が参入して千葉公園やプラッツ習志野のような施設になるかは若干不透明ですが、ニーズが高いならば行政も動く…、こともあるかもしれません。良いか悪いかではなく
たとえば、芝生広場でのヨガや親子で楽しめるスポーツ体験会、小規模なランニングイベントなど。さらに地域の飲食店や団体と連携すれば「食とスポーツのフェスティバル」といった形も考えられます。公園という身近な公共空間に少し工夫を加えるだけで、新しいイベントの可能性は大きく広がります。
私たちふなばしスポーツも、こうした場を活用して地域の方々と一緒に楽しめる企画を実現したいと考えています。大がかりではなくとも簡単にできるようなイベントがあると良いなと思っていますが、皆さんはいかがでしょうか?
朝の公園ウォーキング&交流コーヒー
公園内で30分ほどのウォーキングイベントを行い、その後は近隣のカフェや売店でコーヒーを楽しむ時間を設けます。大規模な準備は不要で、参加者同士の交流も自然に生まれやすい形です。
公園での障がい者スポーツ体験コーナー
ボッチャや車いすバスケットの簡易体験を、週末に公園広場で実施します。特別な設備を整える必要はなく、競技用具の貸し出しとスタッフの説明で気軽に参加できます。
青空ストレッチ&健康チェック
芝生エリアを使い、インストラクターを招いて軽いストレッチや体操を開催。自治体や地域の健康相談窓口と協力すれば、簡単な体力測定や健康アドバイスを組み合わせることも可能です。
地域連携のスポーツマルシェ
月に一度、公園の一角を活用して、地元のパン屋さんや飲食店とコラボした小さな「スポーツマルシェ」を開催。ランニング体験や子ども向けボール遊びと、食の出店を組み合わせることで、世代を問わず楽しめます。
夕方の軽運動イベント
夏季には涼しい時間帯を活かし、夕方にジョギングや軽いピラティスのイベントを実施。特別なライトアップは不要で、既存の公園照明の範囲で安全に行える内容を検討できます。
これらは大掛かりな整備を待たずに始められる取り組みであり、地域住民の皆さんが気軽に参加できるのが特徴です。
まとめ
Park-PFIは、公園に民間の力を取り入れることで、より魅力的で持続可能な空間をつくる制度です。千葉公園の芝庭やYohaSアリーナの事例が示すように、公園は「ただの緑地」から「人が集まり、交流する場」へと変わりつつあります。
船橋でも同じような取り組みが広がれば、スポーツや文化を通じた新しい出会いや活動のきっかけが生まれるでしょう。ふなばしスポーツとしても、公園を地域の活力につなげる取り組みを模索していきたいと考えています。
公園の未来は、より身近で、より多くの人に開かれたものになろうとしています。